配信サービスの普及で、映画はスマートフォン一台でいつでも観られる時代になりました。そんな中、シネコンの攻勢や設備の老朽化、後継者不足に苦しみながらも、まちの片隅で灯りをともし続けているのがミニシアターです。本書は、そんな愛すべき映画館を守るために、著者が自身のブログで発信し続けてきた具体的なアイデアを一冊にまとめた「アイデア集」です。 シリーズ第1弾『全国のミニシアターを救え!』では危機の実態と支援の枠組みを、第2弾『絶滅危惧種ミニシアター』では生態系というメタファーを通じた生存戦略を論じてきました。第3弾となる本書は、理論や分析ではなく、ひたすら「今すぐ試せる具体策」にこだわった一冊です。60を超えるアイデアの中から、前作で語られていない新しいものだけを厳選し、「集客」「劇場の新しい活用法」「認知拡大」という3つのカテゴリーに整理しました。 たとえば、複数の映画館を巡るとスタンプが貯まる仕掛けや、上映後に感想を語り合える無料サロン、著名人が座った席にネームプレートを設置するアイデア。あるいは、映画館を結婚式場として開放するユニークウェディングや、昼休みに客席を昼寝スペースとして開放する意外な発想。ラジオ番組のスポンサーとなって認知を広げる、実際に著者自身が取り組んでいる活動の記録まで、荒削りなものも含めてあえてそのまま収録しています。完璧なプランよりも、まず数を出し、一歩を踏み出すヒントを得ることを大切にしているからです。 本書がとりわけ読んでほしいのは、日々の運営に追われながらも「何か手を打ちたい」と考えているミニシアターのオーナーやスタッフの方々です。宣伝も企画も経理もすべて一人でこなさなければならない小規模な映画館にとって、明日からでも始められる低コストな施策と、腰を据えて取り組みたい中長期の施策の両方が整理されているのは、大きな助けになるはずです。またミニシアターを心から応援したい映画ファンの方にとっても、支援のヒントや、なぜこれらの映画館が今これほど厳しい状況に置かれているのかを知る手がかりになるでしょう。もちろんミニシアター閉館が相次ぐ現状に何とかできないのかと憂うすべての映画ファンも読んでいただければ嬉しいです。 著者は経営コンサルタントでも投資家でもなく、映画を心から愛する一人のファンです。ミニシアターを支援するために一般社団法人全国ミニシアター映画文化振興協会を立ち上げました。本書もその活動の一環で、愛する映画館を失いたくないという一心で考え続けてきた、いわば祈りのような提案の集まりです。すべてを実践する必要はありません。一つでも「これは面白い」「うちでもできそうだ」と思えるアイデアに出会えたなら幸いです。
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