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Descrição do livro

一八三一年、ヴァージニアの麦畑でMechanical Reaperを動かしたマコーミックは、一台の農業機械を作った発明家として歴史に名前を残している。しかし、その後の半世紀を追っていくと、彼が向き合っていた問題は、機械の刃や車輪の構造から次第に離れ、販売、信用、特許、ブランド、工場、組織、会計、労働、資本、経営へと広がっていく。そして一九〇二年には、彼が始めた事業はInternational Harvesterという巨大企業の一部になっていた。
一八三一年、二十二歳の青年がヴァージニアの麦畑で動かした一台のMechanical Reaperは、七十年余り後、複数の巨大工場、全国的な販売網、海外市場、数多くの特許、技術者、管理者、労働者、そして巨大な資本を抱える株式会社へつながっていた。

この変化を見ていると、会社を「誰が所有しているのか」という問いも変わってくる。
初期のマコーミックでは、発明者、所有者、経営者がほぼ同じ場所にいた。巨大株式会社では、資本を提供する株主がいて、会社を毎日動かす経営者がいて、研究を行う技術者がいて、工場で働く労働者がいる。所有する人、経営する人、働く人の役割が分かれていく。International Harvesterの成立は、一人の企業家が動かす会社から、多くの専門家と資本によって動く近代企業への変化を象徴しているように見えた。
すると「経営する」という仕事そのものも変わる。
経営者はすべての工場を毎日歩いて見ることはできない。海外の販売店を一軒ずつ訪ねることもできない。そこで数字が必要になる。地域ごとの売上、工場ごとの原価、在庫、生産量、利益を帳簿から集めれば、自分が直接見ていない場所について判断できる。過去の数字を比較すれば、翌年の需要を予測し、設備投資を計画し、数年先の工場建設を考えることもできる。
ここから会社は、現在の商品を作る場所から、未来を計画する組織へ変わっていく。

企業が巨大になれば、その力を社会がどう扱うかという疑問も生まれる。大量生産によって価格を下げ、研究開発へ巨額の資金を投入できる巨大企業には大きな効率がある。その一方で、競争相手が減れば市場を支配する力も大きくなる。反トラスト法、政府との関係、労働者との利益配分、企業が地域社会に持つ責任という問題が現れてくる。
企業が大きくなるほど、その会社の判断が影響を与える人間の数も増えていく。
株主、経営者、労働者、顧客、販売店、取引先、地域社会。企業は多くの人間を一つの経済活動へ結び付けるようになる。そこで、「会社は誰のために存在するのか」という現代にも続く疑問が生まれてくる。

私はマコーミックの歴史を追い始めたとき、一人の有名な発明家の生涯を調べようとしていた。ところがMechanical Reaperの後を追っていくと、特許、ブランド、販売網、巨大工場、組織、会計、専門経営者、研究開発、株式会社、多国籍企業、反トラストという、現在の企業を作っている仕組みへ次々とつながっていった。
そこで最後に残ったのが、「企業そのものを一つの発明として見ることはできないだろうか」という疑問だった。
Mechanical Reaperは、人間の筋力と時間の限界を越えるための機械だった。企業は、一人の人間が持てる資本、知識、信用、情報、判断、そして寿命の限界を越えるための仕組みになった。人間が交代しても役割が残り、経営者が変わってもブランドが残り、技術者が去っても設計と研究成果が残る。一世代が得た経験を次の世代が受け取り、そこへ新しい経験を加えていくことで、企業は個人より長い時間を使って学び続けることができる。

一台のMechanical Reaperは、人間の手から仕事を機械へ移した。その機械を大量に作るために仕事は個人から工場へ移り、遠くへ売るために信用は人物からブランドへ移り、技術を継続して生み出すために知識は発明家から研究組織へ移り、巨大な事業を動かすために判断は創業者から専門経営者へ移り、さらに必要な資本は家族から多数の投資家へ広がっていった。
それらを一つにつないだものが企業だった。
一八三一年の麦畑で始まった問いは、「どうすれば一日にもっと多くの麦を刈れるのか」というものだった。その問いを追い続けた先には、「どうすれば一人の人間より大きく、一人の人生より長い生産力を作ることができるのか」という、もう一つの問いが待っていた。

発明家から企業家へ。企業家から組織へ。組織から巨大株式会社へ。
サイラス・マコーミックの生涯と、その後に続いたMcCormickの歴史を一本につないで見ると、近代企業がどのような必要から生まれ、なぜこれほど巨大な力を持つようになったのかが見えてくる。
私が知りたかったのは、一人の発明家が成功した理由だけではなかった。一人の人間の発明と経験を、次の世代へ渡し、さらに大きな生産力へ変え続ける仕組みは、どのように生まれたのか。その疑問を追っていくと、Mechanical Reaperの向こう側に、現代の私たちが毎日関わっている「企業」というもう一つの発明が見えてきた。
その疑問から始まったのが、この本である。

サイラス・マコーミック/発明家から近代企業へ
1-1-1:ロンドン万国博覧会/アメリカの商品は世界で売れるのか
1-1-2:特許とReaper War/発明者の優位はいつまで続くのか
1-1-3:ブランドと評判/会ったことのない顧客にどう信用してもらうのか
1-1-4:マコーミック兄弟/一人では動かせない会社をどう経営するのか
1-1-5:組織という発明/サイラスの判断を会社の能力へ変える
1-2-1:世界へ広がるMcCormick/国境を越えて同じ商品を売れるのか
1-2-2:巨大化するMcCormick Works/何千人もの仕事をどう一つにまとめるのか
1-2-3:利益と危険/企業は誰にリスクを負わせるのか
1-2-4:一八七一年シカゴ大火/工場を失っても会社はなぜ消えなかったのか
1-2-5:再建された工場/危機はなぜ企業をさらに強くすることがあるのか.
1-3-1:労働と管理/企業が効率化すると働く人はどう変わるのか
1-3-2:一八八四年、サイラス死去/創業者がいなくなっても会社は動くのか
1-3-3:Cyrus McCormick Jr./家業は近代企業へ変われるのか
1-3-4:Deeringとの競争/競争はなぜ企業を巨大化させるのか
1-3-5:一九〇二年International Harvester/競争の果てになぜ合併が起きたのか
1-3-6:巨大企業は誰のものか/所有・経営・労働はなぜ分かれたのか
2-1-1:会社員という新しい人間/なぜ「経営する人」が職業になったのか
2-1-2:帳簿から経営情報へ/巨大企業は遠くの工場をどう管理したのか
2-1-3:会社という時間/なぜ企業は一年後、十年後を計画できるのか
2-2-1:反トラスト法/企業はどこまで大きくなってよいのか
2-2-2:International Harvesterと政府/効率と独占はどう区別するのか
2-2-3:企業と労働者/利益を誰と分けるのか
2-2-4を支えると何が起こるのか
2-2-5:企業の責任/会社は株主だけを見ていればよいのか
2-3-1:ブランドはなぜ会社より長く生きるのか
2-3-2:研究開発/発明は個人から企業の仕事へどう変わったのか
2-3-3:多国籍企業/世界市場はどう一つの企業の中へ入ったのか
2-3-4:経営者資本主義/所有者と経営者が分かれた社会
2-3-5:企業という発明/人間の能力を世代を越えて蓄積する仕組み
2-3-6:Mechanical Reaperから現代へ/マコーミックが本当に残したもの

Número de páginas :107
Encadernação sairasumakomikkugekan: hatumeikakarakindaikigyouhe kigyoukaden (Japanese Edition):Kindle
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