ステーブルコインが変える お金の新しいルール: 世界の金融インフラはどう進化するのか――仕組み・規制・安全性・ビジネスを徹底解説 (Japanese Edition) ler

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Descrição do livro

私たちは今、お金の歴史の大きな転換点に立っています。しかし、その変化は紙幣から電子マネーへ移り変わったときのように、目に見える形で訪れるわけではありません。むしろ、水道や電気の仕組みが少しずつ更新されるように、社会の奥深くで静かに進んでいます。その変化の中心にあるのが「ステーブルコイン」です。
数年前までは暗号資産の一種として語られることが多かったこの存在は、いまや世界の金融機関、決済企業、IT企業、そして各国政府が本気で取り組む次世代の金融インフラへと姿を変えつつあります。本書は、単にステーブルコインという新しい技術を解説する本ではありません。「お金を動かす仕組みそのものが、これからどのように変わっていくのか」を理解するための一冊です。

暗号資産という言葉を聞くと、ビットコインの価格が乱高下するニュースや、投資ブーム、あるいは大きな暴落を思い浮かべる人も少なくないでしょう。2022年にはTerra・LUNAの崩壊が世界中を駆け巡り、「ステーブルコインは本当に安全なのか」という疑問を持った方も多かったはずです。その一方で、世界ではまったく別の動きが進んでいました。VisaやMastercardはステーブルコインを決済ネットワークへ組み込み始め、StripeやPayPalは新しい送金サービスを展開し、CircleはUSDCを企業間決済や国際送金の基盤として広げています。日本、アメリカ、EUも相次いで制度整備を進め、もはや「暗号資産をどう規制するか」という段階ではなく、「社会インフラとしてどう活用するか」という議論へ移っています。同じ「ステーブルコイン」という言葉を使っていても、投資対象として語られる世界と、金融インフラとして語られる世界では、見えている景色がまったく異なるのです。

では、なぜこれほどまでに世界中の企業や政府が注目しているのでしょうか。その答えを理解するには、現在の国際送金の仕組みを知る必要があります。海外へ送金すると、数日かかることがあります。途中で複数の銀行を経由し、それぞれが手数料を受け取り、営業時間にも左右されます。世界中の資金移動を支えてきたSWIFTというネットワークは極めて優れた仕組みですが、それは1970年代に設計されたインフラでもあります。高速道路に例えるなら、長年世界経済を支えてきた幹線道路ではあるものの、交通量が増え、新しい物流の形が求められる中で、高速鉄道や空港のような新しい交通網が必要になってきた状況に似ています。ステーブルコインは、その新しい交通網の候補として期待されているのです。
もっとも、本書は「ステーブルコインは素晴らしい」「すべて置き換わる」といった一方的な立場で書かれたものではありません。むしろ、本当に知るべきなのは、その便利さよりも、信用がどのように支えられているかという点です。USDCの裏付け資産は本当に十分なのでしょうか。監査やアテステーションにはどのような限界があるのでしょうか。0.1%の損失でも市場がパニックに陥る可能性はないのでしょうか。中央銀行は最後の貸し手として支援するのでしょうか。それとも、銀行とは異なるリスクを抱え続けるのでしょうか。これらは技術の問題ではなく、金融システムそのものの問題です。本書では、安全性を過度に楽観視することも、不安を過度にあおることも避け、現在分かっている事実と、それぞれの仕組みが持つ本質的な特徴を丁寧に整理していきます。
さらに、この変化を理解するには、企業の動きを見ることも欠かせません。CircleやTetherといった発行会社だけでなく、Visa、Mastercard、Stripe、PayPal、Ripple、さらには銀行や中央銀行まで、それぞれが異なる立場から次世代の決済基盤を構築しようとしています。一見すると競争しているように見える企業同士も、実際には補完関係にある場合が少なくありません。カード会社はカード会社であり続けるのではなく、「世界中の価値を動かすネットワーク」へ進化しようとしています。

歴史を振り返ると、インターネットが登場した当初、その価値は「電子メールが便利になる」という程度にしか理解されていませんでした。しかし現在では、通信、買い物、仕事、行政、娯楽まで、あらゆる社会活動の基盤となっています。ステーブルコインもまた、将来振り返ったときには「新しい暗号資産」ではなく、「新しいお金のルールが始まった転換点」として記憶されるかもしれません。その未来が本当に訪れるのか、それとも別の仕組みが主役になるのかは、まだ誰にも分かりません。しかし、その変化を正しく理解し、自ら判断するための知識は、これからの時代を生きる私たちにとって確かな財産になるはずです。


目次
第1章 ステーブルコインとは何か
1.1 なぜ今、ステーブルコインが注目されているのか
1.2 ステーブルコインはどのように価値を維持するのか
1.3 USDC・USDT・PYUSD・RLUSDを比較する
1.4 「暗号資産」ではなく「決済インフラ」である
1.5 本書で読み解く「お金の新しいルール」
第2章 国際送金はどう変わるのか
2.1 SWIFTはどのような仕組みで世界のお金を動かしているのか
2.2 ステーブルコインは何を変えるのか
2.3 企業間決済が最大の市場になる理由
2.4 AI・RWA・グローバル決済の未来
第3章 世界の金融プレイヤーはどう動いているのか
3.1 CircleはなぜUSDCを発行したのか
3.2 Tetherはなぜ世界最大になったのか
3.3 VisaとMastercardは何を目指しているのか
3.4 Stripe・PayPal・Rippleの戦略
3.5 銀行はステーブルコインを敵と考えているのか
3.6 勝者は誰になるのか
第4章 規制は世界をどう変えるのか
4.1 日本のステーブルコイン規制
4.2 アメリカ・EUは何を目指しているのか
4.3 規制は強まるのか、それとも普及を後押しするのか
4.4 中央銀行・CBDC・ステーブルコインの関係
第5章 本当に安全なお金なのか
5.1 Terra・LUNAはなぜ崩壊したのか
5.2 USDCの安全性を検証する
5.3 監査とアテステーションは信用できるのか
5.4 「取り付け騒ぎ」は起こり得るのか
5.5 Circleのビジネスモデルは持続可能なのか
5.6 個人はどのように利用すべきか
第6章 お金の新しいルールはどこへ向かうのか
6.1 ステーブルコインは銀行を置き換えるのか
6.2 金融インフラはどう進化するのか
6.3 10年後の決済はどう変わるのか
6.4 信用は誰が支えるのか
6.5 ステーブルコインが変える「お金の新しいルール」
信用を運ぶ技術から、信用を支える社会へ

Número de páginas :168
Isbn 13 :9798188165567
Encadernação ステーブルコインが変える お金の新しいルール: 世界の金融インフラはどう進化するのか――仕組み・規制・安全性・ビジネスを徹底解説 (Japanese Edition):Capa Comum
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